朝の風景

交差点に差し掛かろうとした時、前方から突進してきたベンツが眼前を横切った。どんなに上等の車でも乗りては選べないということか。朝っぱらから「三度目」に出会いそうになり、えらく不機嫌である。なんとなく嫌な予感がしたので立ち止まったが、今では当たり前の風景になってしまったスマホ歩き野郎(野郎ばかりではない)であればNext Lifeへご招待であったろう。

ふと気が付くと、御器所の辺りは建て替え物件や、足場を組んで外壁をやり直すお宅が多いことに気付く。戦後の建物のリプレースと、先のオリンピック前後の家々が大型修理の時期なのだろう。メンテナンスフリーの住宅が理想なのだろけれど、人が作ったものは必ず壊れるし、まぁ、自然とてうつろうわけだから、結局のところ、ためたお金は出ていく定めにあるらしい。

御器所から鶴舞大学に至る途中のお屋敷には、ベンツだけではなく、高級車と呼ばれる部類の四つ輪が沢山並んでいる。一体どんな人達が住んでいるのだろうと思っていたのだが、自分さえ良ければという人達だということが良く分かった。恐ろしい街である。

家は土地を縛り、家具は家を縛る。昔の人は良く言ったものだ。縛り合う関係にはなりたくないものだ。お互いが高めあうそんな組織でありたいし、人でありたい。まぁ、出来損ないの人類であるからそうも都合良くは行かないのだけれど、まぁ、元気で社会のために頑張れる組織になればいいなぁと、組織を縛ってはいけないとあがいている私であります。