洞窟の中で

サバイバルの鉄則はじっと動かず体力を温存すること。濡れず乾いた場所に居ること。何らかの方法で水を得続けること。恐らくそのリーダーは凄まじく冷静沈着、統率力抜群であったのだろう。出口の無い暗闇に10日間閉じ込められて平常で居られるか。一般民間人なら叫び狂って体力消耗、焦って転んで骨折などして、その怪我が元であちらの世界に旅立つだろう。

1913年、8月末に駒ヶ岳で発生した気象遭難も、大元は大人登山者達が小屋をたき火にして暖を取るという最低最悪の身勝手な行動から発生したものだ。集団の中に「自分さえ・・」という者が出た瞬間に死神は釜をもたげる。そこに続くものまでもが甚大で深刻な影響を受ける。それがサバイバルである。

東北震災においても少年の機転で救われた命があった。何かが起こる。第六感が働くとき、それに従うべきだ。まずいと感じたその瞬間に立ち止まり、次の瞬間に意思に関わらずシナプスの命令に従った活動に転じる。これこそが生命の源泉であり、サバイバルを語る者が行ってきた行動である。

事件のニュース当初に、自らならどうするかを考えた。様々、考えたが、結局のところ、水、食料の確保と確認。空気の流れの確認、排泄場所の確保、そして動かないこと。洞窟だから航空機が見つけてくれる確率はゼロ。1週間は確実に動けないことを前提に行動にでる。ライトも消して暗闇で過ごす。電池を必要とする電子機器は全くの無力だ。水に塞がれているから、その水位を可視化し続けることも重要だ。サバイバル。それは何時でも起こりうる。この次も生き延びる。間違いない。