団塊の世代の皆様がリタイアされた時期に、高級オーディオ機器が再び売れ始めたというニュースが流れた。流れたというよりも小生が気にしたということなのかもしれない。音楽再生と再生音楽を楽しむことが趣味であるので、リッチなオーディオ機器を湯水のごとくの金銭で買いあさる人達っていったいどんな仕事に就いていた人達なんだろとか、様々様々思った次第。
丁度、大学4年生になるかならないかの頃に、カラヤンが「俺の第九が入らなきゃ意味が無い!」と皇帝の如くに叫び、今のデジタルオーディオの企画が決まり、そこから延々とLPの駆逐が始まった。軽薄短小、小生もご多分に漏れずそちらの方向に行っては見たものの、機器が悪いからかそれ程の感激は無かった。その昔の秋葉原の通い詰めたオーディオショップのおっちゃんが「LPには勝てないからね、LP買っとけよ」と言っていたのを思い出す。
ハイエンドオーディオって結局はバーチャル路線にも入っていて、それで良い方々には、それこそ全く問題ございません。ただ、一度でも筧の音とか山の中のせせらぎの音、鳥の声、風の流、無音の雲の圧力を感じたことがある人は、それが虚であることに不快を感じるはずだ。小生が求めるオーディオはそこにあって、それで満足できないなら、リアルな音を求めて旅に出るだけである。
SHURE社がレコードカートリッジの生産から手を引くという。コストと納入の点でブランドを維持できなくなってきたからというのが理由。なんと美しい事か。「フォノ製品がお客様の人生の一部を共にできたこと、ひいてはShureブランドを築き上げる一端を担ったことを誇りに思います。」感動の一言である。これからも音楽再生を趣味ですと言えるようオタク道を歩もうと思う私であります。