到春

ドアを開けたら春が来ていた。夜中十の嵐が雨戸を叩き、春を告げていたのは感じていたが、もわっとする暖気は正に春のものであった。とは言え、しばらくはぶり返す寒さもあるだろう。気を付けねばならない。ここ数日来満開になった梅が気になったが、思っていたほどの被害は無く、メジロを呼んでくれる満開は維持されていてほっとした。楽しみが一気に無くなってしまったかとひやひやした。昨年は正月頃から暖かく、春一番で梅が無くなったが、今年の寒さは花を守った感がある。

名古屋地域は久しぶりのお湿りで、乾燥が続いて風邪やインフルエンザが流行っていたが、これで少しは終息するかもしれないと、これまたほっとしている。驚いたのは御器所の駅を地上に出た時だ。どうも徳重の方面と御器所方面では空気の流れが明確に異なっているらしく、空気感が全く違う。明らかに御器所がヒヤッとする。それ模様もなんだか寒気に満ちているっぽくて、緑区ってそんなに南か?と南国ムード満点の故郷から秋田に出張したみたいな感じがする。

日本海を低気圧が進んでいただけでは無く、閉塞全線を伴った低気圧がアベックになって本州をサンドイッチしたらしく、寒冷部と暖部が入れ混じって今朝の嵐になったのであろう。緑区ではとっくに上がった雨で、桜山あたりからびしょ濡れの男子高校生(っぽい)達が乗り込んできて驚かされたが、御器所の空は厚い雲ではあったが雨はやんでいた。西の空は明みて、ほっとして歩き始める。

叩きつける雨と風で妙に綺麗な町並み。これが大変に好きである。気分爽快とはこのことで、吸い殻、空き缶、紙くずなどまで吹っ飛んでいる。いや、これらは何処かに吹き溜まっているだけだろうから、積分的には綺麗なったわけでは無いが、目の前からそれが消え去っただけで良しとしよう。関東や東北はこれから嵐の本番らしい。春が来た。そう宣言しても良さそうな朝に心地よさを感じる私であります。