月が笑う

日本国籍のタンカーが、スエズ運河に引っ掛かって、世界中の迷惑中心になってしまった。きっと「作った国の技術が低いから」くらいの悪口が世界中で湧き上がっているのだろうとやきもきしていた。そんじょそこいらの浮力の付加では浮かび上がりそうにないし、あんな砂地でクレーンを使ってコンテナを降ろすなど、どんだけ厳しい作業になるのだろうと、不謹慎だが見てみたいと思っていたら離礁してしまった。

なんでも今年は5月26日がスーパームーンだそうで、楕円軌道のお月さまが、現在近づきつつあるそうな。その加減で満潮の時刻と月の位置関係で、通常の満潮時よりも45cmも海水面が上昇したとのこと。月の助けを借りるなど、かぐや姫ではあるまいし、粋なお話だなと、改めて月を眺めた次第。その潮位を計算しての浚渫量だったそうで、既に宇宙空間までを検討に入れた作業だったとのこと。月だ、火星だとお仕事の場がどんどん広がって行っているのですな。

400日周期でやってくるスーパームーンなのですが、最近接する日はわかっているわけで、月の引力を活用したお仕事って他には無いのかななどと考えてしまう。人工衛星のスイングバイなどは、まぁ、スーパームーンに限らず引力を活用しているわけで、それではつまらない。地上にいて月の御利益を得るなんて愉快ではないですか。小生的には無限に存在し続ける引力の変動を使ったお仕事って無いかなと、ずっと思っていたので、今回のマンモスタンカーの離礁は妙に合点がいったのです。

環境を守るなんて綺麗ごとを言うわけだけれど、最早、地球だけのお話では無いのは当然の事。人工衛星軌道には宇宙ゴミだらけで、それを回収するビジネスもベンチャー企業が開始する。地球防衛軍のお仕事と言っても良かろう。月に自国の旗を立てて、自分の領土だと叫ぶ前に、折角、46億年も寄り添っている月なんだから、もっと仲良くなってお互いが笑顔になる関係でありたいなと、タンカーを動かしてくれて有難うと、密かに感謝している私であります。