春認定の日

桜が咲くとどっかに出掛けてみたいと思うのだが、昨今はそんな日程を組むことが出来ず、精々、駅から鶴舞大学までの道すがらを旅だと思い込むので精一杯である。それでもそれは間違いなくリフレッシュになっていて、様々な発見をもたらしてくれる。

コブシの木がネコヤナギのお化けみたいなつぼみを付ける頃から、春の勢いが増してくる。まんさくの頃はまだ寒いが、コブシが白や薄紫の花弁を広げる頃には、コートのボタンが外れてくる頃だ。6時半には明るくなりかけて、公園のラジオ体操の人影が目視できるようになってくる。毎年の事ながら、大先輩方の活気には元気を頂ける。

気が付くと公園の樹々に新芽が吹き、フレッシュグリーンが揺れる様を見て、気持ちが晴れやかになる頃、薄桃色の桜の花芽が膨らみ始める。その頃になると、もう、気分は花見なのだが、最近の若い方々は花見の文化が無いので、研究室で鶴舞公園などという粋な行事はとんとご無沙汰だ。まぁ、これも時代である。

桜の一輪が帰ってきてくれた途端に、心は一気に春である。一年間になんの区切りも見いだせない職制に追い立てられてしまってはいるが、何が区切りかと言えば、正月よりも桜の一輪との対話である。それを見出すための春先の街中の徘徊は、実に有意義でアドレナリンどっぱぁである。まぁ、満開だけど、一人の花見もよろしかろう。そんなところだ。