植物だけでは?

世界中で樹木の伐採が収まらず、海洋の温度上昇も収まらない。CO2が極地近傍の低温の海に溶け込んで、海流の移動によって酸性の海水が広がっていく。現状は極地の海の体積に対して地球全体の海洋の体積が大きいから、薄まって「大したこと無かろう」と思われているのだろう。春から秋と言うか、この間の樹木によるCO2の吸収は間違いなく地球規模で生じているから、植物の光合成の活動とは素晴らしいものだと改めて感じるグラフを見た。信じられるデータかどうかは定かではないが、環境省のホームページに掲載されている情報だから信じることにしよう。

ただ、地球大気中の平均のCO2濃度が右肩上がりで、その平均値に対して数%で上下する分が植物の活動分らしい。それを見てしまうと、これは植物だけに頼っていてはどうしようもないなと実感させられる。落葉樹などは偉いもので、新芽を吹いて夏を過ぎて活動を休止するまで光合成をきちんと続けてくれる。我が国的には繁茂する竹に期待したのだが、これは1年程度で成木に育つまではCO2の固定をせっせとやってくれるらしいのだが、その後はCO2を排出する側に回るらしい。なんともやっかいなことだ。

すると、その昔のように、竹を生活の中に取り込んで活用すれば良いのだが、そこには手間もエネルギーも必要となり、活用に至らないということになる。そこで諦めて良いのかと言う問題提起である。生分解性プラスチックとか、石油由来で無いプラスチックが期待されているが、そこに至るまでのエネルギー収支はどうなっているのだろうか。石油から造らないというのはSDGs的には認められる気がするのだが、大量なエネルギーを消費しないといけないということになると、それは本末転倒である。

学生の頃、講義で触媒のお話をお伺いして、こんなに便利なものを生み出す学問は素晴らしいと思ったことを思い出す。今の研究もそんなことが根幹にあって、構造を破壊するのではなく、原子で構成される面をはぎ取っていくという自由エネルギー制御に拘ってきている。CO2ネガティブに持ち込むには触媒というものの働きが必須である。植物だけではどうしようもない。我が国が産業的に排出する量に対して、日本の国土前面に最もCO2を光合成で固定する植物を植えても2桁足りない。世界中で緑化が進まない理由はこんなところかと、定量的なデータを自ら調べるとため息が出る。