複素数って良くできていて、自乗して正と負になる。こんな面白い数字は他にはない。電磁波と物質の相互作用を表現する時、こんな便利な数式は無い。研究をしていけばしていくほど、成る程なぁと感心する。まぁ、最近はちっとも研究はできていないのだが。
今はとても便利な世の中である。何が便利だと言えば計算機。ちょっと試して駄目なら修正。自由自在だ。その昔はパソコンにもマシンタイムがあって、若い連中はキーボードにすら触らせて頂けない。パソコン様である。謎めいたプログラムを動かして計算機に「ダメ!」と怒られてしぼむ。自乗して負を表現することすら、えらいこっちゃであった。
頑張って何らかの結果が得られたとき、何かが生まれた時に、何かが消えていくことが多々あるのだ。これこそ虚数の仕業だと思ったりするのだ。頑張った挙句に消えていく。むしろ消すことに意味がある。消すからこそ生まれる余地がある。足すことばかり考える人はお気楽だろうなぁ。
光あるところに影がある。影が美しければそれは影を造った実態がしっかりしている証拠である。いろんなお仕事をさせて頂いているのだが、この影を美しくすることこそお仕事だなと実感している。黒子とはそういうお仕事だ。間違ってはいけない。自分は何かを成しているのだと思っている間は影は見えない。そういうことだ。