量の魔法

鉄を溶かして車を作る、シリコンをほじくって酸素を取り除き、とてつもなくゆっくり固めて切って磨いて・・どっちが地球を暖めたのだろうとなると、どっちもどっちでは無かろうか?PM2.5の発生に関しては自動車関連の足元にも及ばないだろうが、手元に届いてその人の為に小エネルギーを実現するまでに使う電力は爆発的だ。

一つのトランジスタであれば、それは間違いなく省エネルギーである。鉱石検波ラジオなど、空間を飛んでいる電波が金属線(アンテナですな)に発生させる交流電力だけでイヤホンを振動させて音声を獲得することが出来る。まぁ、放送局から飛んでくる電波が巨大だということなんだけどね。ここにも社会の便利を実現させるための無駄遣いが見られる。

それこそ一人一人が電気喰いの携帯を持ち、空間に無駄に飛び交う電波を獲得し、それを情報と熱に変換して生活している。その数は一体どれだけのものだろう。世界で見てみれば、間違いなく地球温暖化を加速させている。電気的エネルギーという極めてエントロピーの低い、上等のエネルギーを、ポケットの内側で暖房器具として活用しているみたいなものだ。贅沢極まりないのだが、一度、その便利さをしってしまうとそれを手放すことはあり得ない。

この携帯電話を実現するためのテクノロジーが、一体、どれ程に凄まじいか。携帯電話のテクノロジーは小型化ということなのだが、単にそれだけでは無くて、機器の省エネルギー化を促進した結果には違いないのだ。巨大な電池を有するガラパゴス携帯よりも、それこそ一万倍以上の能力を有しながら、消費する電力がそれ並に抑えられているという点においては、技術の進化は劇的だ。しかし、それを活用する者が、桁違いに増やしてきたということだ。省エネ機器も数が増えれば巨大電力消費の元凶である。