地方創成考

「人口が増えて経済が活性化してくれることを望んでいます」と限界突破集落のお役人は仰るのだが、それはそうでしょうよ。今の日本でそれを「今」実現できるのは東京都の限られた地域でしょうし、未来永劫と言われると、地球上どこにもそんなところはありませんと答えるしか無かろう。夢物語を語られても時間泥棒でしかないので、ご遠慮願いたいのだが、その切なる願いは伝わってくる。

成る程なと感じたことがあって、旧態依然族の方々は、ありもしない既得権益を振りかざして、新しい考え方を根絶やしにする。そんな状況の中に飛び込んでいくはずは無かろう。TVの向こうの政治の世界も御同様で、旧態依然族が旧態依然族を応援して、若者というか、新たな思考の参入障壁となっていく。鉄道があり道路があれば拠点が生まれ、人はその利便性を求めてそこに集まる。過疎化地域には旧態依然の思考だけが残る。日本の有り様である。

旧態依然を打ち破ろうとするムラ人の中には、新規を創るなどせず新規を盗もうとする輩が居る。盗むならきちんと盗んで勝手に使えば良いのだが、「理解できない」と小馬鹿にして、中途半端に盗んで技術転用が出来ず、なにやってんだと圧力団体に化けていく。無為無策、無反応、無感動、そして簒奪が中小企業における技術の獲得手法であるらしい。旧態依然族によって構成されている中小企業は危機的状況にある。

地域発展のカギは、その地域が何故生まれたのかから考え、今に至る文化の変容を知り尽くすところからである。そこに人が何故減ってしまったのかを解く方程式がある。30年かけて人口が減ったのなら、30年以上かけて増やす必要がある。明日突然、定住者が増えて税収がどかっと上がるなど有り得ない。有り得ないことを求めてしまうのは人の弱さだが、今こそ、その弱さを思いやりに換えて、強さに昇華せねばならぬ。それが出来なければ消滅すればよろしい。それだけの事だ。