教育業界

「売れっ子」予備校講師の給与を見るまでもなく、教育業界はとっくに『業界』となっている。何かを生み出して収益を上げていく仕組みを業態というならば、お金をどうやって儲けるかという点を、子供の将来の保険とすり替えて実行している姿勢に、ある意味、日本の生きる道を見るようだ。

パターン認識で行われてきた大学受験を突破するために、パブロフの犬状態に子供を仕上げていく様は見事である。思考はあり得ず、反応や適応性が評価指標となっているわけだから、その訓練にお金を掛けて、思想や哲学的学究思考をそぎ落とす、言ってみれば大学入学時にピークを迎え、その後の対応能力など不要だと思う親御さんにとっては、IT機器を活用して、黙々と画面に向かっていてくれる方が手が掛からず、塾等を託児所とする選択肢は間違っていなかろう。

昨日、学会の理科教室というイベントに参加したわけだが、まさに託児所然とする様子に眩暈がした。鋏を持った瞬間に、こんなの一番嫌いだと叫び、床に転がる、ゲームじゃないの?と噛みついてくるその様に、日本の現状と近未来の惨劇を見る様であった。勿論、そうでない子も居るが、当然のことながら、一人の悪態に引っ張られる様に、申し訳ないという気持ちが起こりながら、面倒を見ないといけない状況に疑問を抱く。7倍の倍率で当選した子達だぞ・・・

学会員が拠出して頂いている会費から活動経費が出ているわけで、税金投入の慈善事業では無いのだ。将来の理科好き人間を一人でも増やす確率を上げる活動である。このあたりが難しい。誰でも参加して良いと言い続けるのか、事前試験をやるコストも掛けられず、親の気持ちもわからなくは無い。無いのだが、託児所と考える親も居るのは事実であり、親の都合と気持ちは違うぞと言っては見たいが、言った途端にとんでもないことが起こるのは明白だ。教育業界の現状の一端に参加し、得も言われぬ不安を抱いた。