さくら

宴席の無いソメイヨシノは、国民の元気の無さを嘆くだろう。どんなに咲き誇っても浮かれて大騒ぎをする民を呆れて眺めるのが、花見というものだと思っているソメイヨシノにとって、今年の早い開花は、溜息みたいなものだろうか。

ご近所を回ってみたら、土曜日の時点できらっと咲いていた。薄紅色のつぼみたちを尻目に、胸を張って輝いていた。やぁっと声が出るのだ。一年ぶりですねと。ほんの数輪ではあるが、紛れもない心のスイッチである。

ソメイヨシノが咲いている間は仕事はしないというのが小生の生き様であって、長い魂の春休みの言い訳なのだが、今年はそれがやたらと速く始まってしまって、新人達との桜の宴席も無く、窓越しの桜で欲求不満の日々になるであろう。

世界ではとんでもなく罹患者が増えていて、日本は真っ当に検査をしていないからの数値だろうなと海外から疑われている程である。どちらが真実を語っているのか分からないが、自らの身は自ら守らないといけない。桜と共に元気になって一年を頑張る。日本人らしさで切り抜けたい。そう思う。