昨日の日経新聞によれば、8年後には日本から世界の半導体へのコミットメントが、我が国ではゼロになるという。う~ん、イオン注入の創始者の研究室出身の小生からすると、背筋が寒くなる記事でしたよ。いろんな経済的なことが日経的に記事として出ていたけれど、人が外に行っちゃったということではないのかな?日本国内の薄給で、どうやって超技術を学び、そして実践できる博士課程学生を国内に繋ぎ留めろと言うのか。昨日の続きになっちゃうけど、博士課程学生を使いもしないで4年生卒業者が博士課程卒の年齢になった給与で雇用しますって、どこの国にそんな論理が通用するのだ?
半導体バリューチェーンの問題も、コロナ禍で顕在化してきたわけだけど、結晶作って、切って、磨いて、板にするところまでは日本は凄いですよ、品質的には世界のトップレベルにある。今のところはね。そして技術を向上させる、即ち、1ナノメートルプロセスを使えるために要求される品質を獲得しようと、様々なところから技術収集をしている。問題は、そこにちゃんと対価を支払わない事、ベンチャーだったらエンジェル資金を投入しない事。未来への投資が無いことだね。それは博士課程学生を雇用する事にも繋がるね。半導体産業に限ったことじゃないよね。
半導体の世界の中でのプレゼンス向上って半端な事では出来ないですよ。10兆円投資して100兆円の売り上げを出すみたいなもんですからね。日本は同業種間で人を取りっこして、技術と知恵を私物化して、結果として他者で生きる知恵まで死蔵していく。もう、そんなことをしている場合では無いですよ。企業の知恵者に実践教育にもっともっと入って頂いて、研究室にも参画して頂く、もっと言えば欧州の様に、博士学生に学費を出して頂きながら、給与も出して頂いて、企業の実践的開発現場で活動させるとかね。勿論、知的財産を囲わないといけないから、学位は企業での活躍ぶりを評価して頂き、それを地方大学として学位として認定していくとかね、新しい仕掛けが必要でしょう。
この新しい仕掛けと言うのがとても大切で、大袈裟なもので無くとも良いのですよ。公設試様などともタッグを組んで、地方自治体とも連携して、GDP向上に関わりながら博士課程学生に育って頂く工夫が欲しいね。モノが先か、人が先か、そりゃぁ、人でしょ。人がモノを創るんだから。AIが創造を始めているわけで、それを越える創造力、それは人に笑顔になって頂きたいと願う力。それが存在しているかどうか、それが大きくなるような初等教育であるかどうか、親の思考が出来るかどうか。日本が近い将来も、世界にプレゼンスを示せるとするならば、そんなところから変えることだね。100年後に結果が出る。そんなもんだ。