前期日程入試の合格発表が昨日行われた。本学においても御同様にして発表が成された。無味乾燥な数字が発表されるだけなのだが、その数字にはそれまでの頑張りが表され、合格者の笑顔を引き出す。アメフト部の胴上げが名物となっていて、男子高校生が宙を舞う姿にほほえんだ。なんと素晴らしい情景であろうか。自分にもそんな時代があったなぁと遠い記憶を遡ってみたりしたが、懐かしんでも仕方が無いので、さっさと仕事に戻る。
昨今、入試の判定ミスのニュースが踊る。マスコミにしてみれば格好の餌食であって、社会悪の権化のようにたたいてくる。確かに阪大の事例は異質に感じた。あれはまずい。判定ミスなどあってはならず、採点ミス、問題作成ミスなど様々な人為的ミスを減らす努力をしている。ただ、それは研究等に掛かる時間を大幅に削っていることに直結する。大学で勉強しようと頑張った者に対してどんなに丁寧にしてもしたりないのだが、実はそれが大学に入った者の前で教壇に立つ人間から多大な時間を搾取していることにも繋がっている。
入試は一発勝負。体調不良でもアウト。小生も思い出すのだが、上野駅で電気機関車が壊れて動かない。ご同輩っぽい方がうろうろと車内を不安げに歩き回る。運不運というものはあるものだなぁと妙に落ち着いていたのだが、結局、5分の遅刻で済み、無事に入試を受けさせて頂き今に至っている。暢気な時代であった。バスからの眺めを今も覚えている。水を張ったばかりの田んぼに白鷺が舞っていた。
大学は一つの通過点だが、思いっきり勉強すると間違いなくその後に役に立つ。頑張ったことが役に立つ。詰め込み教育は否定されがちだが、詰め込んで柔軟に膨らむことが出来る時代に詰め込むべきなのだ。合格者諸君、君達は今日現在は受験というゲートをくぐり抜けることが出来たのは間違いない。しかし人生はまだまだ長い。こつこつ一歩一歩、進んで頂きたい。努力は自分に宿る。それは誰にも奪われない。