造山運動

火山があったり活断層があったり、様々な理由で温泉が湧きだす。静岡から九州に至るまで、フィリピン海プレートが海水を十分にため込んで、軽い大陸プレートの下に潜り込む際に生じる摩擦のエネルギーがマグマを生み、その熱エネルギーが熱水を作り出し温泉になる。硬い岩盤も水と圧力があると水飴の如くにドロドロになる。噴火のかたちで人間にとっての災害を生むわけだが、地球誕生から継続している出来事に対して、人間如きが文句を言えるものではない。

高圧下では100度以上で沸騰するわけだが、それが大地に出てくるときの凄まじさ。日本では様々な場所で見ることが出来るわけで、それを捜し歩くのも面白い。直接の噴気孔などは頑張らないと近寄れないが、北海道の硫黄山などは足元から突然黄色い噴煙が上がったりして、恐ろしい。記録によれば8000年も前から噴気を上げているという。

そこまで激しい温泉というわけでは無いが、安曇乗鞍温泉などは山体全体が熱く、標高が高い中での温泉故に、やや、空気が薄くそれがまた楽しさを増す。壺のように繰り抜いた湯壺に身を沈めるわけだが、まさに山の中であって、愉快な気分になってくる。平湯まで行ってテント泊をし、翌日は新穂高ロープウェイを蒲田川沿いに下った川べりのスーパーオープンな露天風呂にどかんと浸かるのが良い。

川沿いだろうが山の中だろうが恐ろしい程に温泉が湧きあがり、相当に大地が冷えているんではないかと、遠い昔は思ったものだが、大地のエネルギーが次から次へと温泉を生んでいることを思うと、そんな心配は「今のところ」単なる心配であると分かる。若僧が温泉に入っていると人生のベテランの方々がいろいろと教えて下さる。それがまた面白い。そんなお付き合いは一人旅でこそ得られる。これからもしたいものだが、はてさて、いつになることやら。