怠惰

エレクトロニクスに関連した研究もやっているので、その世界の発展を願う訳なのだが、正直なところ、本来、電気なんて便利なものが無い世の中が、知恵に満ちた世界になるのではと思っている。車だろうがなんだろうが、電気を使わずに駆動している機械なんてものは、自動巻きや手巻きの時計くらいなものでは無いのか?そりゃぁ、手動の水門みたいなものもあるのだろうが、屁理屈に付き合うつもりはさらさらない。上空には縦横無尽に電線が張り巡らされ、人間は自ら空を失っているとがっかりする。

ボンバルディアのプロペラ機に乗ってみると、高度を低く飛んでくれるので、山々を繋いでいく高圧電線を確認することが出来る。窓際の席でずっと下界を眺めるわけだが、これが案外と面白いのだ。山中に作られた水力発電所や海辺の巨大な火力発電所から霞の彼方まで伸びていく金属線と鉄塔は、人間の自然との決別の決意の表明の様である。

普段の生活ではエアコン、テレビ、ドライヤ、冷蔵庫、調理器具と言ったところが電気大食いの代表選手なのだが、いざ、職場に出てみればエレベーターという大食い王者がのさばりかえる。自動ドアも案外大食いである。コピー機は昔ほど大食いではなくなったが、それでもかなり食う。電気ポットなどは破壊的だ。でも、まぁ、そんなもんだ。こんなものの為なら、水力発電所だけでもなんとかなってしまうかもしれない。

便利な道具の代表選手であるパソコンや携帯電話を「造る」機械軍こそ巨大電力要求群であり、中国や韓国の巨大工場群などは、原発を構内に持った方がいいんじゃないの?と思いたくなる。実際のところ、それをやれば送電ロスは限りなく少なくなるし、排熱の利用でスーパー銭湯は勿論の事、温室で食料栽培を365日可能にするなんて余裕でできる。LED照明で人工太陽を創り出すなんてこともお手の物だ。なんでやらんのだろうと思うのだが、心の何処かで危険なのだろうと認知している人達がやらせないんでしょうね。便利だけ大事にして、危険は他人にお任せ状態。それが日本だ。悲しくなる。