内海というところにお世話になったわけですが、これが内陸の駅で、ホームから海なんか見えないわけですよ。地図を見ればわかるんだけど、なんかその名前から海際の駅みたいなところを想像していったら、全く違って驚いた。初めていくところは、早めの徒歩散策と決めているので、雨だろうがなんだろうが、車組を尻目に歩く。駅の近くに梅原猛先生が、仙台から昭和初期に移ってこられたお宅が残る。演繹と帰納を見事に使われる哲人を形成した場所が内海であるということに感銘を受ける。ホームの下の狸にはやや驚かされるが、内海はなかなかにして良いところと感じる。
駅から半田南知多線という大通りを素直に進めば600m程度で海なわけで、千鳥ヶ浜海水浴場というところに出られる。そこへのアクセス鉄道としては贅沢とも言えるのかもしれない。しかしそれをやってしまうと面白くもなんともないので、自然の家への最短ルートの山道を選んでいくわけだ。細い路地を進むと廃業している味噌醸造所などに出会える。こんな発見こそ、醍醐味である。ちなみに梅原猛先生のお宅も代々の醸造業であった。最盛期には13件もの味噌・醤油醸造所があったそうな。
少し行ったところに知多牛工房がある。閉まっていて中を覗くことはかなわなかったが、予約をしてから行くところらしい。そこを過ぎるといよいよ登りの杣道となる。これこそ近道の神髄である。駅から10分も歩けば、そんなところに出会えるところが知多半島の良さと言っても良いのではないか?やたらと便利な都会とはまるで違う楽しさがある。
早朝散歩で分かったことだが、野間古道として、野間から内海へ抜ける古道ということなのだそうだ。内海峠までだらだらと登りが続き、切通しなどに出会うことが出来、歴史を感じることが出来る。木が覆いかぶさっているところがあり、利用が多いとは思えないが、それだけに散策路としては一級品と言ってもよいであろう。夏の虫が多い時期には行きたくないが、内海の想い出としては十分な古道であった。