人工構造物

海洋に意識的であろうが無意識にであろうが広がっていったプラスチックの問題で話題になった太平洋プラスチックゴミベルトだが、海流が太平洋を大循環していることで、供給が絶たれたとしても永遠に続く人工構造物だ。万里の長城が最大の人工物と言われていたが、それを超えるものを実は作っていたというのだから驚きというか呆れるというか。石油起源のプラスチックだから、元をただせば自然由来と言えばそうなのだけれども、海に降り注ぐ太陽エネルギーを遮蔽して、海洋の活力を削減させるという点において、地球の気候変動に直接的影響をもたらすことも忘れてはならない。

魚介類への影響ばかりを叫んでいるが、それらの命が存在することを認めているのは地球とそのパートナーの太陽だ。無尽蔵に与えてくれる太陽からの贈り物をお断りするようになっては、最早、命の存続はあり得ないわけで、そんな意味で、海洋プラスチックの海流ベルトは恐ろしい現象だなと感じている。世界中の軍艦なんかが網でかき集めろよと言いたい。

もう一つ、海藻ベルト問題というのが大西洋で強く観察されるようになっていることが話題になっている。その昔、某県にある巨大な水たまりがリンを含んだ洗剤排水によって真緑になったことを思い出すわけだが、メキシコ湾からアフリカに達する、大西洋横断を海藻が果たしているというのだから凄まじい。これは天然自然が作り出した巨大構造物と言えるわけだが、どうもその原因は人類が海洋に流している栄養成分であることが分かってきたらしい。

光合成質の海藻ということだけ読んだ時には、酸素源になって良いんじゃないの?くらいに暢気に思ったのだが、海面に漂う藻が増えると、海洋生物は呼吸困難になるということと、それらの藻が海底に沈むと腐敗してサンゴを死滅させるらしい。こうなってくると海洋プラスチックどころか、それよりも破壊力は大きそうだ。自然との共生という点において、海洋を破壊し続ける人類に未来は無いわなぁと思う訳ですが、何か微力に出来ることはないかしらと、それこそ一人一人が考えないと、今すぐ行動に出ないとダメですよと言いたいわけだ。