温故知新

ポケベルが災害時連絡手段として復活を遂げている。ローテクのハイテクの事例では無いだろうか。東日本震災の翌年くらいから防災無線事業が活発化しているそうだ。280MHzという家屋の壁を通り抜ける特徴を活かし、地域の災害情報を有無を言わさず送り付ける仕組みは、町内会にあるラッパ型スピーカーから流れる、何を言っているか聞き取れないアナウンスとは異なって、危機意識を高めると同時に日頃の安心を送り届けてくれる。

自治体が設置する場合は国が補助を出すそうで、地域に一気に広がるところもビジネス的に成り立つモデルだなと感じる。短距離のBluetoothや金属遮蔽に弱い携帯電波に無い特性を活かした使い方で、そんなもん、あったなというツールに、新しい活躍場所を与えている。何故、過去、そこで流行ったのかという観点で見直しを掛けていくと、失ったものが再び脚光というものも沢山出てくるのではないか。

何でもかんでもイノベーションというか、新規開発という事でもなく、今あるものを丁寧に見直すことも極めて重要であると考える。機械的に壊れて修繕不能というものであっても、実は、ほんの少し工夫があれば従来よりも元気に活躍するというのは、お年を召された方の「味」というものに通じるのではないか。新しければ良いという事ではなく、価値の再定義で使われ続けて良い技術が多くあるのではと思っている。

思っているだけで、直ぐに思いつくものでは無いのだが、例えばエンジンのモーター化によって失われる部品が数多くあるわけだが、エネルギー伝達手段としての機械組手はロボットなどに直ちに転用できるであろうし、ポスト自動車という点においては、思考の柔軟性と共に、使われなくなる技術の横ぐしをさせるビジネスプロデューサーの必要性も高まってくる。じゃぶじゃぶお金がお金を生むなどというバブルの幻想は遠い彼方である。まずは、頭の中身を組織のトップが変えるべきだ。そう思う。