考古学から学ぶ

人類の技術的発展の続きになってしまうが、応用事例はあっという間に陳腐化、腐敗していくわけだから、その時々のお若い方々にお任せするしかない。引き継ぐべきは要素技術であり、それさえしっかりしていれば、新しい複合技術には対応できる。そもそも人がイメージするものの殆どが複合技術であって、真に新しいことはそうそう出てこない。

例によって近年の探索によって、ヒッタイトの鉄文明よりも1000年早く、鉄を溶かして固める技術がトルコエリアに存在していたことが明らかとなった。それはヒッタイトの製鉄・精錬技術よりも稚拙ではあるが、溶かして固めることは出来ていたようだ。隕石である隕鉄を加工する事は、それよりも古くからおこなわれていたから、自分たちで何とかしようという、見いだされた中では最古の鉄鉱石・砂鉄の溶解と固化であったようだ。

この鉄からヒッタイト精錬技術に至る間に人類が挑戦したことは、酸素の除去であった。今も変わらず「良い鉄」を作り続けているわけだが、その原点が紀元前2000年頃にあったということは、鉄を扱って4000年も経過しているという事だ。技術の発展はそのようなものだ。そう考えると、半導体Siの発展というものが、製鉄からの学びにあったからこそ短期間に達成できたと思って良い。自然との決別によって生まれた要素技術を、新しい材料にどう活かしていくのかを引き継いできた証である。

新しい素材でないと「お金は儲からない」仕掛けになっているから、新規素材開発に向かっていくわけだが、要素技術を積み重ねするだけではそれはなかなか容易ではない。合算させるべき要素技術が全て揃うことはあり得ないし、新規開発が出来る者に出会う確率は更に低い。確率が大きい大国だけが勝ち抜いていくのか。心身ともに伸び伸びと元気で健康でないといけない。一方で、あれもやれ、これもやれと言われる。ITで出来るものは全てさせる。それによって人を人の為に活動して頂くような環境を作らねばならぬ。そう思う。