40億年

残り10年と思っていたら、その最初の年もあっという間に過ぎ去ろうとしている。研究成果は10年に1本だから(勝手な思い込み)、残りの10年で何をやろうかと人類の歴史から宗教やその他もろもろ、宇宙誕生から地球誕生、そこから何故か突如生まれた生命に研究テーマを追い求めているうちに、様々な妙な知識が身に着いた。これこそが学者にとっての生命活動である。愚痴を言ってはいけない事に埋没し続ける日々は何処まで続くのやら。思えば遠くへきたもんだと、今年は黄門行脚で角館を散策できたのは最も素敵な旅だったかな。

突然、角館の思い出に耽ってみたが、それはまぁ、うっちゃっておいて地球での生命誕生の話。小生の師匠曰く、「自己分裂したらそれは生命やで」と定義付けして頂いたので、小生はそれを踏襲している。自己分裂する遺伝子が宇宙の外から来たのではとも考えるのだが、地球が生まれる時にはどろんどろんの火の玉だったわけだから、流石にその時点で自己分裂可能な遺伝子が分解せずに残ったとは考えないことにする。冷えて水に満ちた後に落下した隕石由来かもという考えは捨てない。年代が問題だ。

カナダ・ケベック州の岩石帯から見つかった37億7千万年前というのが、ちょっと前まで最古の細胞化石と言われていた。ふむ、水が出来て約6億年か、良い頃合いだなと思っていたのだが、今年9月のネイチャーに39億5千万年前の生命痕跡が見出されたと発表され、その追観察の結果、正しいという判定が成されたのがつい最近。地球が出来たのが46億年前、冷えて海が出来たのが44億年前。約40億年前には生命が出現していたことになる。

億年という単位を生きたことが無いのでピンとこないが、恐らく、随分と長い。人間の生命活動期間なんて無いに等しい。無いに等しいのだが、やたらと様々な出来事に遭遇する。これまた少し前に、北海道沖合でM9クラスの地震がきそうだという。以前の地震が380年周期なのが、400年間発生していないからだと言う。億年単位からみたらくしゃみする間もない誤差の範囲。そんなことで一喜一憂する生命は40億年もかかって出来上がったはずなのにまだまだ雑念に駆り立てられる。それが進化というものなのだろうか。破壊された新幹線の台車の写真を見て、工学人はこの程度と、まだまだ研究テーマは無くならないなと、ぎゅっと握り拳の私であります。