させて頂く

GW中に他県に移動するなということで、高速道路の料金割引を無くすという。なかなかにして狡猾であり、うまいことをするなと感じた次第。それにしても日本人にとっての生き甲斐であるGW縛りは強力だ。歓楽街に出歩くなというよりも強烈かもしれない。とは言うものの、それでも動く人は動くのでしょうね。拳銃や罰金でも仕掛けないと収まらないのだろう。でもこれって情けなくないか?

長期に会えない家族に連休だから逢いたいとか、様々な出会いを止めなさいというお達しであるから「そんなもん、聞いていられるかぃ!」という気持ちは、それはそうだろう。先日の江ノ島周辺の道路の渋滞が、GWに入ったら、東北道渋滞32kmみたいなことになって良いはずがない。自分のことでは無いのだ。相手の気持ちを推し量る、「させて頂く」という日本人の美学、文化は何処に行ってしまったのでしょうか。

非常事態宣言の延長云々が議論されているわけだが、国債を発行し、日銀に買わせて国内還流して現金を作り出す、所謂錬金術でここ数年、株価・為替操作にいそしんできたツケが、コロナ保証で一気に湧き出した。そんな経済施策しかやってこなかったのだから、家から出るなと言われても飛び出すわな。閣僚の方々は10万円の配布を受け取らないという申し合わせをされたそうだが、それもまた、なんだか変なお話だ。

人が家から出ない。これはサーベルタイガーが闊歩していた太古の昔、洞穴に立てこもり、隙を付いて食料を獲得に走った時代に等しいのだろう。店舗なんてなく、身の回りのものは全て自己調達。原点回帰である。ジュールベルヌの宇宙戦争を思い返すと、工学によってなんだか強くなったと己惚れていると、目に見えない程の弱者に食われるぞと、今の世を予言してくれていたのではと思ってしまう。「させて頂く」。その美学に立ち戻りませんか。