反転

授業と宿題を反転させる、即ち、みっちり予習しておかないと講義についてこれないのは学生の責任というのが出発点だ。勿論、教師側はそれに応えられる予習教材を準備しなければならない。JABEEの担当者だったから、海外の流れは知っていたし、その効果もなる程なと思ったのを覚えている。今のWeb授業とは趣は異なる。しかし、今年の教材を来年は講義の深堀に間違いなく活用できる。そう考えると、しっかりとウエブ教材を作り込むことは我が国の財産となろう。

これは大学だけのお話では勿論無い。初等教育から企業向けのリカレント教材にあっても同様のことが言える。反転授業は対面での議論を重視しているところが肝であるわけだが、例えばTeamsで質疑をチャット等で行えば、その記録は全員に共有されるし、全員に対して貴重な講義材料にもなる。自らを鍛える場と捉えるか、単に面倒が増えるだけと捉えるか、えらい違いだ。

ウエブ授業においては受講生同士の繋がりを加速させるとか、その効果を得るのはそれなりの仕掛けが居るなと思う。画面上の学生を指さして、勢いで会話をして、講義室全体を巻き込んでいくというような野蛮で昔気質のやり方は通用しない。そもそも論として、リモートワークネイティブの諸君に、コテコテの現場人種のボケなど通じようが無い。教材の録音時に聞き手は居ないのだ。一人で盛り上がるしか無いが、聞き手はシラッとしていることは間違いない。

世界中のオフィスでどうやって新人教育をしようかなどと、あれこれと試されているに違いない。市場からはUSBのカメラなどが消えてしまい、カメラ付きノートPCも特需のようだ。機械は売れるのかも知れないが重要なのはコンテンツだ。コンテンツの良質化こそ考えるべきなのだが、時代と共に良質の有り様が変化していく。時間は残酷である。そう感じる。