遥かなる新商品

家電製品の広告を見るのが好きである。広告と言っても新商品のプレ発表なのだが、こんなかゆいところに手が届くようになりましたというのが妙に面白いのだ。これも出来てあれも出来てという商品が減ってきたのはここ数年であろうか。むしろ、何かをやらせたら今までにない最高のものだという触れ込みが愉快である。小さくなって簡単になって、デザインも可愛いとうのは当然なのだが、調理時間を減らせますとか、朝の時間を節約できますとか、まぁ、そういった類のものが愉快だ。数ヶ月もするとそれを上回るものが出てきて、これまた愉快だ。

ここ3ヶ月くらいでは、「ストック出来る冷蔵庫」が主戦場で、各社、スター商品を並べているのだが、キッチンフレンドリーな小生とすれば、そんなもの学生の頃からコンセプトとしてはあったぞと、まぁ、省エネにはなっているのだろうが、初めて出てきましたみたいな広告を見ると、王道の商品展開って広告業界では厳しい分野なのかなと想ってしまう。本当に良いモノであっても、時流に合わないと売れないのだなと、改めて学びがあるのだ。それが実に面白い。どんなに良くても売れないのだ。それが世の中だ。

性懲りも無く出てくる挽きたて、淹れたてのコーヒーメーカーなど、ストッカーが着いている時点で駄目だろうと思いながら、コクだのなんだのの謳い文句が面白くて、ついつい隅々まで眺めてしまうのだ。ニトリに行けばどどんと新生活を始められてしまうわけだが、結局の所、スーパーシェフというわけではないのだから、家の中に中途半端に賢い道具を並べるよりも、新鮮な野菜などを売っている店が近くにあるほうがよっぽど都合が良いことに、多くの人が気がついているはずだ。働き方改革の基本は健康的な生活の筈だが、街と人のあり方から見直せば、家電はがらっと変わるだろうにと思う。

スマート家電が出てきて久しいが、それとて、一日中、家に居て仕事をする人間の行動様式がインプットされているわけではない。こんな事になっていたら便利なのにと思うのだが、旧式人間故に、歩き回って解決してしまう。この、歩き回って解決するということを肩代わりしてくれるだけなら、そんなものは要らない。思いもよらない便利さを提供してくれるのであれば使ってみるのも面白いかなと思うのだが、生きている間にそんなものに出会えるのかどうか。そんなことを考えながら、やっぱり数カ月後の新商品展開に興味を持ってしまうのでありました。