狭山工場閉鎖

自動車小僧だった小生としてはホンダ狭山工場の閉鎖は実に寂しい思いがある。可変式トランペット、超高回転高トルク、乗り手が追従できれば、0発進からトルクリッチに立ち上がり、コーナー出入口で等速度運動を可能にする。そんな機械が国内で作られなくなっていく。いや、世界においてもモーターと電源、勿論コンピュータに支えられていく。ホンダだけではあるまい。今後、トランスミッションなど、電動化されたらほぼ要らない機械を作っている工場は閉鎖していくだろう。

日本経済の牽引車はインフラ工事と自動車だ。機械産業という点においては建設部材を除けば、ほぼほぼ自動車だ。小松製作所などが活用する大型建設機械は今後も要求され続けていくだろうが、一般民間人向け乗用車とは数において桁が違い過ぎる。雇用を生み出す原動力とはならない。部品点数がガソリンエンジン車と比べて圧倒的に少ないEVは、現在の自動車産業に関わる人員数を10分の1以下に減らすだろう。

マニアの方々はガソリンエンジンのフィーリング云々を語るが、EVに試乗した感覚では実に面白いと感じた。また自動車小僧に戻りそうだ。アクセル応答性は明らかに高い。そしてそれは車載用コンピュータの発展でもっと増していくだろう。EV用モーターというか、モーター開発という古くて新しい技術のエンジニアを増やしていかないと立ち行かない。そしてそれを駆動する回路、そして制御するコンピュータにはまだまだ参入の余地どころか未開の地だ。

それらがどれだけの人員を吸収できるか分からないが、携帯電話に車輪がくっついたような世界をイメージするには、要素技術から機械を考える頭の人間よりも、社会はこうなって欲しいと願い、そこから必要な技術を「こんなのが必要じゃないの?」とイメージ出来る頭の人間が必要だ。自動車ばかりではない。全ての分野で同様だ。高齢者医療関係の研究も同様で、高齢者に寄り添い過ぎると木を見て森を見ず、我が国の安定に寄与できる研究開発に繋がっていかない。夢を語れる素人の時代、そんな時代がやってきたなとホンダ工場閉鎖に思う私であります。

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