案外真面目な話

真面目なお話は嫌いなのだが、たまには良いでしょう。IT技術とひと括りに語ろうと思っても、宇宙は何故存在するのかくらいの広いお話が必要となってしまっているわけで、何の技術が必要だなんて些細な議論は無意味だ。逆に、何かの技術が進化すれば、それを活かしたIoT技術が生まれ、AIで解釈され、IT技術となって我々は恩恵を受けるくらいの好い加減な理解で良いのではないか?無関係に存在しているものなど無いということだ。

身近な分野でセンサというものがある。接触センサなどは様々に応用され、医療分野においても重要案件となっている。遠隔医療で数ミクロンの神経にある腫瘍の感覚を、拡大させて指に伝えて、その感覚を頼りに医師が処置をしていく。そんなことが当たり前になっていますと言われても、あぁそうなんですねと、センサとしては形成可能なことは解るのだが、それを使って手術をしてしまうというのは、最早神の手だなと思うわけですよ。まぁ、それくらいは人間の技量の範囲なのかもしれないけどね。

で、「そこに腫瘍がある」というのは硬さの変化で見るそうで、変化は増えようが減ろうが、それは微分値なんですな。微分が出来れば積分が出来るというのは古い会話なんですが、その変化量を雑音に比べて大きくしていくためには、センサの持つ質量を小さくしないといけないわけです。例えば血管の中には赤血球が走り回っているわけで、それなどは鉄を持っていて磁力も発している。センサにとってはそれを頼りに検出も可能ですが、電気的雑音を撒き散らす「面倒な連中」でもあるわけです。結構、大きくて重いしね。

半導体センサは環境から守ってあげないと壊れるわけで、封止するんですが、現行、大略400℃程度なんだそうです。100ミクロン位のシリコンセンサだと、封止時に0.3ミクロン程度伸びるんですね。熱膨張というやつ。室温に戻すとそれだけ縮むわけで、接合部分に引っ張りの応力が掛かる。機械的加工精度はサブサブミクロン位ないと、もう約立たずの機械というわけで、その辺りが世界の開発ターゲットというわけです。加工機械の材料も、加工するやり方も変わっていかないといけない。自動車の精度では全く無意味なわけで、0.1ミクロンオーダーサイズの新型コロナウイルスを力学的にセンシングしようとすると、それなりの加工が必要になるわけだ。そんなこんなで、自動車に引っ張られ続けて良いのかなぁとしみじみ思ったわけですな。