一話完結ネタとすると無理があるのですが、Tier2以下の階層にある企業群の氾濫のお話。Tier2以下と言っても売上規模はあまりにもでっかい、半導体素子を作ってしまうファウンドリの方々。日本がはるか昔に捨ててしまった規模感を、毎日巨大化させ続けるその勢いは、世界のIoTを支えきる力強さを感じるわけですが、さりとて、最終製品を作っているわけではない。半導体チップをもらってもちっとも嬉しく無いですからね。最近は剣山の代わりにもならない。薄く、小さく、そして使いやすくなっていく。
一方のTier0の人達は、最終製品を作り上げ、最大利益を獲得する、いわば搾取階層でありまして、それこそ、下層の企業群に命令一下、何時までにどれだけを、一個いくらでもってこいと、それがその通り?に動いてきたわけですな。機械部品的には自動車という機械構造物の数だけ販売されるわけで、これだけの数を出せる、即ち、量を作ることが利益に繋がる構造は他に無いわけですよ。だからTier0の破壊力は抜群だ。
ところが、半導体の皆様にとって見れば、携帯やPC、データセンター等々、「自動車の数?・・ゼロぢゃないの?」と、鼻で笑う気にもなれない基盤産業なんですよ。安全が絶対である自動車のデバイスは、シリコン基板からプロセスルールまで、利益が上がる最先端デバイスルールよりも遥かに低次元のものづくりで、それに関わる半導体製造機械メーカーも「もうやめようぜ」という代物。IoT産業と自動車産業のレベル間の差が、自動車用半導体不足に直結しているわけですな。
テスラやワーゲンの車を見れば、極めてチャレンジングなエレクトロニクスが用いられているわけですが、そうでない車のほうが遥かに多い。となると「だったら1個当たりの買取価格を上げるべきだね」となるわけですよ。1回購入したら、多くの人はそんなに買い換える代物ではない自動車に対して、先進のソフトウェアを使う為に最先端半導体が必要になるという、その逆もまたしかりですが、機能の技術を塗り替えることをへっちゃらにする産業と、伝統工芸の機械産業。大型よりも小回り優先の、ベンチャーを伸ばすには、それを受け止める脳内改革が必要なんだけど、「女子は黙れ!」みたいな国ですからねぇ。駄目だろうなぁ。