半導体業界

泣き言を言ってはいけないのだが、東芝の凋落を見るまでもなく、半導体に掛かる「生産」技術は、それなりのものしかこの国には無いと言って良い。多く語られることだが、iPhoneの中身は日本製の部品が数多くと語られ、何か、自虐的とも慰めとも、そして現実逃避とも感じる美辞麗句なわけだが、要するに心臓は創れませんよということだ。TRONを国が放棄した時点で全てが決まっていたのかも知れない。いや、業界もバブルに浮かれてこのまま進めばよいのだと思い込んでしまったのかも知れない。思い込みの怖さ、今を捨てる勇気。血を流して身につけたものを葬り去れるからこそ、次の次元が見えてくる。血を流さず金で買うだけの企業群の何と多いことか。

まぁ、金ってそんなものかもしれないけどね。会社ごと買ってしまえばその技術は確かに利益に乗ってくるかもしれない。優れた人材も取り込めるのかもしれない。マスの効果は確かにあるとは思う。文殊の知恵は一人では産みにくい。正しい否定者とのコンビは、思考を発展させる上で重要であることは、数々、体験していることである。エゴイストな否定者が多いのには辟易するけどね。まぁ、それにも耳を閉ざさない方が良いこともある。苦しいけどね。

オールジャパンで動いたのは第二次大戦後の時だけだったのではないか?小生はその時のプレーヤーでは無かったから、その当時の国民の思考の組み立てがどうだったのかは知らない。伝承はされてはいるが、その場に居なかったわけだから、真実は理解出来ていない筈である。極限状態で初めて一体となるこの国だから、まぁ、それなりに生きていける現状下において、オールジャパン的思考は出てこないでしょうね。一回目の緊急事態宣言はそのチャンスだったかもしれないけれど、それも適当なところで解除されておじゃんになりましたな。

半導体産業の凄まじさは、その精緻さにあることは間違いないが、そこで働く方々の気配りというか、精神状態と言うか、そんなものも必要なのだ。呼気中のナトリウムや硫黄原子にまで気を使う。そこまで教育できる設備は東北大くらいかなぁ?もう、限界ではなかろうか?漸く、大臣が「半導体産業を守らないと」なぁんて仰るわけだが、倒れきったドミノの列に、さぁ、起立!って声を掛けてもね。挑戦と勇気を失ったこの国に何が出来るか?まずは一歩から。そんなところだ。