人工の葉っぱ

ご近所のお会社殿が、人工光合成で、空気中二酸化炭素と水から有機物を生み出す効率を凄まじく高めたという記事を拝見した。植物と比べてどうなんですかという疑問に対して、植物ほど器用でもなく小さくも無いが、炭酸ガスを有機物に変換するという観点からは、太陽光エネルギーの4%強を有機物に変換していることに対して、今回の試験装置においては7%強なのだそうで、夢のようなお話だなと思った次第。

まぁ、形態的には人工光合成と言っても、太陽光パネルで発電した電力をつかって触媒等々を活かしながら炭酸ガスの固定をしていくのだが、太陽光パネルの、太陽光のエネルギーを電力に変換する効率が20%程度、その電力の1/3程度を有機物に変換することで、大略太陽エネルギーの7%の変換効率というのが出てくるのだそうだ。それほど小さな代物では無いが、それが実現できたということが重要だと思う。旧日本的に「もっともっと効率を上げてから市場に」なんて遠慮せんと、小中学校にじゃかじゃか配って教育に使って欲しい。SDGsは人からである。

それにしても炭酸ガスの固定化とか、世界の潮流を受けてマスコミが騒ぐのか、企業が取り組むのか、まぁ、そんなことはどうでも良くて、丁寧な研究成果の積み上げには敬意を表するところですよ。なっかなか出来るものでは無いのです。しかも前を進む人が居ない領域はね。人工光合成が前に行く人が居ないということでは無いんだけど、高効率ってなかなか出来ない事ですからね。大学でやらなくなっているところに寂しさがあったりする。

未踏領域を探すのはとてつもなく大変で、予測されていた「まだ見ぬ世界」への挑戦はなんとかなる。しかし、安住の地に安息してしまうと、そこから抜け出そうとはなかなかしない、出来ない。結局のところ『勇気』ってことなんだと思いますよ。お金がじゃぶじゃぶあるわけでは決して無いし、日本の企業は学者の夢物語に投資なんてしないしね。こんなところに日本の寂しさがあったりする。過去の組織にしがみつくとかね。まだ見ていない世界はそこら中にあるのにね。