起業についての一考察

鶴舞大学にはビジネスモデルを構築する講義があって、そのモデルを拝見することがあって、つくづく実感した。若者の思考とおじさまの思考の乖離は極めて激しい。それはとても埋まるものでは無く、こんなことからも、第二創業などに挑戦するのであれば、新時代の旗手をメンバーに加えるのが宜しい。それがままならないのであれば、今の事業が滅びるまで頑張るだけだろう。400年を超えて存続する企業におかれては、その創業時の理念と要素技術の選択が如何に素晴らしかったかということだろう。

これは大学の初代学長の理念にも言えて、鶴舞大学は実に素晴らしい理念の上に成り立っていると感謝するのみである。一方で、新時代の旗手の皆様に触れてみると、発想が「想定内」というか、ネット世界の何処かにあるというか、情報の氾濫の中で、自ら生み出したものが何処かにあるか、あるいは無意識に見ているものを、結果、真似してしまったことになるのかは不明だが、驚くほどに図抜けた発想というものに出会えない。まぁ、図抜けるとアイデア倒れで潰れてしまうから、大勢に理解されるビジネスの方が、びっくりするモノづくり系ビジネスよりも御金を稼ぐという現状を考えると、それで良いのかもしれない。

オリジナルに拘泥すると、自己満足に走ってしまい、結局は良いものかもしれないけれど、誰にも使われない製品となる。商品まで到達しない、死の谷を越えない状況で、結局、消えていってしまう。毎年、50%以上の企業が、設立年度に消えているわけだが、少なくとも作っているサービスや「もの」が活躍しているイメージはしっかりと捉えてビジネスを起こして頂きたいものだ。先行する大企業の成功事例などは参考にしなくて良い。もうそんな時代ではないのだから。

江戸時代、ビジネスは天秤棒からというのが普通の事で、稼ぎから、店賃、仕入れ代金等々を抜いていくと、普通に担いで売り歩くだけだと殆ど儲からなかったそうで、そこから人とは違ったものを売る、あるいは加工製品である寿司を売るとか、より顧客に近く、そしてリピーターが存在するビジネスに進み、店を持てる商売人に成長していったのだそうだ。若者が、同年代の人達に受ける範囲をターゲットにして起業することは間違いではない。ただ、ステップアップしていくストーリーは描いて頂きたい。天秤棒は年を取ると担げなくなる。老婆心である。