丼飯的なものは各国にあるんだけど、丼を抱えてかきこむことが出来るのは日本くらいなものかしら?茶碗に触っただけで下品なんて蔑まれる国もありますからね。郷に入ったらということで当然、ルールに従うのですが、ガキンチョの頃からの条件反射というかな、茶碗の類が出て来たら、まぁ、抱えますわな。「お茶碗はこう持つのだ」と躾を受けたことを覚えているくらいだから、余程、守らないガキだったのでしょうね。不思議なくらい、覚えていますよ、食事のマナーの刷り込みを。それが今も継続中で、棺桶の中にまで持っていくんでしょうね。習慣って。
日本の丼ものは基本的にご飯の熱と水分を上手に使った、機能美の極致だと思っているのですよ。鰻丼とかは上等過ぎてお目に掛かれないので、もっと気軽な奴が良いですよ。カツ丼なんて言うのもかなり上等の部類なんだけど、これなんかは「豚肉をカツに揚げる」行為に障壁がありますな。油を大量に使うところに困難がるんだけど、お惣菜で購入してきてそこからカツ丼に仕上げていくという安直技もあり得ますな。しかし、全てを自家製造するというのが小生の主義なので、これはちょっと無し。
自家製造出来て、日本の丼オブ丼と言えば親子丼。親子で頂く手作り親子丼なんてのは最高ですな。凝ってみると奥が深い親子丼なんですよ。考えてみれば、街にお金を取るメニューにある位ですからね。「美味しく」作るとなると、これは結構大変ですよ。皮がぐにゅっとしていたり、鶏肉が「ゴム」みたいになっちゃっていたり、玉ねぎがまるで生だったり瀕死だったり。出汁が塩辛かったり真っ黒だったり。玉子が生だったりカチンカチンだったり。まぁ、基本、美味しいから食べてしまうのだけど、新しいもも肉の塊を買ってきて、自分で作るのが一番ですな。
熱々のご飯に煮込んだ具をサラッと乗せて、一味など振ってみたりして。三つ葉を載せるなんて技もあるのでしょうけれど、そんなお上品さは求めなくて良いのですよ。丼はお気楽極楽が一番で、出汁に浸った残り少ない時に、どんぶりを抱えて「カッ」と掻き込んだりしてね。まぁ、やらなくても良いのだけど、やっても怒られなさそうな親子丼なんですよ。上等の鰻屋さんの鰻丼だったら許されそうに無い技なんだけど、親子丼なら許されそう。何でいきなり親子丼なんだって言われるかもしれないけど、親子の絆に親子丼なんて最高だなって想った次第。それだけのことだ。