「量産」は廉価な工業製品製造には必然の概念である。直径30cmの半導体ウエハが数十枚、一度にぐるんぐるん回って磨かれる様は脅威である。磨いたら今度は薄くして張り合わせて・・何という事をしているのかと思うが、パッケージ化されて出てきた時の価格は、ちゃぁんと一般民間人が背伸びをすれば購入できる価格帯に収まっている。製品性能はそのプロセスによって決定づけられるわけだが、プロセス上の機械の能力が高くなってきているので、その機械を適切に活用できる企業であればそれなりのものが出来るのが現状である。半導体にとって人間はゴミ発生源だから、居ないに越したことは無い。
様々な製造現場で「自動機械で私の仕事を奪うのはけしからん!」なんて騒ぎが生じていると、マスコミ等を通じて聴こえてくるわけだが、半導体業界においては、人間に作業があればそれだけ歩留まりが下がって、自らの給料が下がる方向に行くわけだから、作業は奪われるのが良いという認識だ。だから機械機能の精緻化に反対する不可思議なユニオンなど無いし、むしろ、トップが新規の研究に企業資金を投入しないことには暴徒と化す。誰でも出来る作業が奪われるのか、機械に譲ってより高度な作業に挑もうとするのか。世界シェアを競う半導体関連業界企業と、シェアが無限に落ち続ける自動車産業企業との体質の違いは明確だ。
破壊的イノベーションが企業も雇用も粉砕していながら、次のビジネスを見出していくノキアのようなことが我が国では起こらないのは、日本的浪花節というか、一族郎党古いものにしがみついて、共倒れしていく美学に酔いしれているからだろう。海外から見たら茶番にもならない。仕事が無くなって死滅するから、古いものを作り続けてくれと泣きつかれたら、切る英断こそ、切られた側に挑戦の機会を与え、新しきに挑む勇気の獲得に繋がるのにと、とても残念に思う。
これからも破壊的イノベーションは収まらない。余りにも破壊が目に見えなかったからね。勿論、部署が他社に買われたとか、ミクロな血の流れはあったと思うのですが、カテゴリそのものが無くなってしまうとかね、これから続々と出てくるでしょう。ゲームの世界に出てくるアイテムが続々と生産されている。20歳前半の諸君が、今、目の前にあるものを欲しがるとは思えない。過去など思い起こす必要は無い。どんどん進めば宜しい。今できることは既に古いのだ。それだけのことだ。