不漁

もう3年前になろうか、鰻の完全養殖を目指して「こんなことやりませんか」と呼びかけた。名物を崩壊させるのかと見えない力が何処からともなく真正面からやってきて、あっという間に潰される。その昔、潮力発電やりませんかと言うと、やはり何処からともなく力が掛かってアイデアそのものが無かったものになる。地方大学なりのことを頑張ろうとすると、やはり核の雲の傘がやってきて寄ってたかって潰される。自分のためにと思ったことは一度も無いが、どうも世の中は暴力的な力がお好きなようだ。議論なんかない。

鰻がスーパー不漁らしい。そりゃぁそうだろう。取りたいだけ取って、ぎゅうぎゅう詰めで育てて、全部オスにして、しかも親鰻を海に戻さないんだから減るに決まっている。人為的な不漁と断言して良いだろう。マリアナ海溝近傍の海流が変わった云々はあるかもしれない。そりゃぁ自然のやることだから突然の絶滅だってあるかもしれない。しかし鰻に限っては人為的だろうね。これはもう仕方が無い、今年の夏は鰻レスだ。

満月の潮力と光、恐ろしい程の水圧によって粉砕され、そして不要なものが海に溶け出した残りを鰻の仔魚は食する。その部分を実現しないと完全養殖は成り立たない。完全養殖とは、今、瑞浪地域で流行り始めている人工海水による養殖の事で、海水を使ったら完全養殖とは言わない。だから鮭は完全養殖では無い。勿論、瑞浪においてもその昔の浜辺のミネラルを含んだ淡水に塩分を混ぜるから海老が陸で育つ。100%の人工というわけではないが、自然の力をお借りして、知恵で命を育む。

権力と言う恐ろしいものにどんどん流されていく。仕組みを都合よく変えて延命する。そりゃぁついさっきトップに立った人が「これやりたい」と言っても無視されちゃうのかもしれないが、世界は常に新しいのだ。その新しさを受け入れてアシストしながら交代していく。それが知恵のある者のすることではないのか。お金がないから潰しちゃう。教育なんかいらないと叫ぶ。そんな馬鹿どもに食われてたまるかと、鰻も何処かに行ってしまったのだろう。そう思う。