54.4%

少し遅れて統計が出てくる日本の大学の進学率。出どころは言わずと知れた本社様ですな。2020年度の報告なんだけど、我が国の大学進学率が54.4%で過去最高なのだそうだ。過去最高!と素晴らしい事の様に語られているのだが、「それだけ?」と余りの少なさに驚いた。短大まで含めると64.1%なのだそうですよ。米国では88.3%、韓国では95%ですよ。大学って国の未来のための人材育成機関だったよなと思うと、なんだか恐ろしくなる。「ダイヤモンドオンライン」記事に依れば「大学進学が経済的不合理だから」とのこと。

要は生涯賃金を高卒で就職した者と大卒とを比較すると若干大卒が平均すると高いのだけれど、大学進学に要した費用を取り戻すまでの時間が極めて長いということだ。平均して50歳半ばまで取り戻せないという。予備校の費用だったり私学の中学高校だったり、それを加えて、積算していくととんでもなく費用が掛かる。俗に1000万越えと言わるんですけどね。高卒者と大卒者の平均生涯所得差は2000万円程度と言われているのだけれど、結局のところ早く手に職付けて活躍して、単位だ何だとどやしつけられることなく頑張れる方が良かろうということだ。

これは教育界と企業との関係性にも大いに問題を感じるわけだ。大学が入学者に対して地頭を強くして、かつ、専門知識を与えていないのでは無いかと思われているからで、大学院出の平均初任給は米国の5分の1である。博士に至っては修士卒で務めている同級生が、3年後に博士取得者となった者が入社すると、上司となって見下してくる始末である。これ程、専門知識に対して価値を置かない企業の価値観が改まらない限り、日本人の地頭はどんどんとレベル低下していくんだろうなと思っている。

日銀が必死になって進めてきていた「物価高日本」はコロナ禍と戦争であっという間に達成できてしまった。ただし、企業利益は下がり(多くの企業は)個人の給与所得は上がらないままなんだけどね。従業員が長い年月を掛けてスキルを高めることが出来て、学び直しが自在にできて、兼業も認められて自己実現に向けて頑張れる社会を目指したいのだけれど、それは遥か彼方。バブルの時代を覚えていますよ。企業さんが「大学生に色を付けるな、教育は企業がするから」と仰ったこと。そのツケが今、日本の負債となって出てきていることを政治家は意識するべきだし、本社も何でも支社に丸投げして疲弊させるようなことをしなさんな。そう思う。