未だに自動車産業のヒエラルキー構造は壊れず、垂直統合を成功事例と捉えて、その呪縛から離れようとしない。脳内DXが全く成されていない為なのだが、電力を何処からもってくるのかの議論が成されていないのはとんちんかんだが、EV化は確実に進むわけで、モーター、パワエレ、電池、ミッション、コンピュータ、センサを車体に載せたらそれでおしまいという世界に垂直統合なんて有り得ない。得意な企業が得意なものを作って、アセンブラーに提供するだけだ。水平分業だが、そこにこそDXが必要なのだが、それも一番不得意にしているのが日本だから困ったもんだ。
書物からの引用だが、「人類の課題解決、即ち、地球環境の問題を解決するにはモビリティの問題を解決することが不可欠だ」とイーロン・マスク氏はテスラ社を創設されたわけで、単にEVを販売するのではなく、コネクテッド、自動運転には走るコンピュータが必要だからという事業構想こそ、彼が販売しているものだ。社会の参加者が利益を得るモデルを販売したと言って良かろう。自社だけが儲かればという垂直統合頭からは絶対に生まれない発想で、それが許される世界のなんと羨ましい事か。
勿論、安心して加速して、曲がって、停まるという自動車に仕上げるにはとてつもないノウハウが必要で、それは現行の自動車メーカーと呼ばれる企業に、間違いなくアドバンテージがある。それ故に、垂直統合から脱しないということもある。本当に人が欲する自動車では無く、作れる自動車を作ってしまうところに、脳内DXが成されない根幹がある。より早く、温かい状態で食事を運んで欲しいというニーズに答えようとしたら、それなりの自動運転車を作らなければならないが、顧客の笑顔最大化に向けて、何があったら良いのかからの開発でなければならなかということだが、未だに「自社が儲かれば良い」という発想では世界の孤児状態は続くんでしょうね。
交通インフラシステムのオペレーションと言えば鉄道事業者だが、それは街角のセンサ、自動車のセンサによって自在に成し遂げられる状況に、海外はあるが我が国には無い。なんでこんなに無いものだらけなのかと、結局は得意の参入障壁をお役所が後押ししてきた結果なんだよね。国民が置いてきぼりを喰ってきたわけで、だから賃金も諸外国にくらべてべらぼうに安い。要はビジネスモデルを売らなければならないということだ。大学組織にしても同様である。旧態依然の組織は確実に崩壊を迎える。今までは良かった。これからはそれは最悪になる。そう考えていると良い。そう思う。