企業投資を促せに思う

基礎科学分野での我が国発信の論分のプレゼンスがどんどん落ち込んで、その勢いが止まらないと、まぁ、昨日今日に始まった事では無いのだが、ずっと続いている。論文の数だけではなく、所謂、トップ10%論文と呼ばれる領域にどれだけ出せるかということなんだけど、企業の都合の良いように改革しろみたいなことを言っているわけだから、それは無理だわな。チャレンジしない企業に溢れる我が国において、そちらさんに向けて考えろみたいなことを言っている限り、それは駄目だ。

昨日の日経などには「大学は企業が投資したくなるような研究体制を整えろ」と書かれていましたけどね、ゼロ円で成果を寄越せという意識改革を企業群にして頂かない限り、それは成立し得ない。勿論、全てのお企業様がそうだとは言わない。基礎研究に価値を見出し、そこに投資しようと意識を変えて頂くことからではないか。大学が経済再生の一助となっていないという評価だが、新入社員さん達が、数年経って、全くの役立たずか?創造性の高い人材を育てろとか、タダで成果を寄越せとか、企業側に都合の良いことばかり並べるでは無い!

企業さんに喰いついて頂けるか頂けないかは、教員の人的魅力と、基礎研究が世界でナンバーワンでオンリーワンであるかである。そんな研究室には、当然の事だが、大学院生も多い。その若い力も当然の事ながら、新規のアイデアを生み出す原動力である。そこにもRA経費などとして、直接経費として入れて頂かなければならない。そして、経理を担当する大学のバックヤードにも当然の事ながら費用が発生する。所謂間接経費で、海外では65%以上が当然のラインだが、我が国では要求すると泥棒扱いされる。

企業が世界トップを目指さず、自社の生き残りだけを考え、国からの助成金や補助金を貪り食い、国を疲弊させている現状にちょっかい出すと票が減るということなのだろうが、政治家がいつまでも金と票に頭を下げているから、大学は企業から金を奪う策を考えろ見たいなことになる。学問は天が作った学理を、人知に理解される言葉に翻訳するものである。それを人の幸、延いては企業の利益に繋がっていくもので、それが国民に還元されるのだ。確かに、基礎研究の質を上げる努力は徹底的にしなければならぬ。それと企業に媚をふれということとは道理が異なるのだ。