去る時代

この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし
踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる
迷わず行けよ 行けば分かるさ

ご存じ、アントニオ猪木さんの『道』である。小生とプロレスと言うことであれば、やはりジャイアント馬場さんから始まりアントニオ猪木さんで終わっている。力道山さんは伝説でしかなく、小生的にはこの二人が作られた、ある意味、楽しいプロレスが好きである。単なる殴り合いの暴力ではなく、ヒーローが必殺技でヒールから勝利をもぎ取る。幾度となく倒れ、そして立ち上がってくる。相手の必殺技を紙一重で耐え凌ぎ、そして自らの必殺技で勝利し、喝さいを得る。

振り返ってみれば講義での教壇での立ち居振る舞い、話の構成、終わりの鐘の直前の身振り、そしてフレーズは、彼らのリング上でのストーリーをイメージしていた気がする。勿論、学会などでは世界初の成果をさりげなく、当たり前のごとくに説明し、結論においてずばっと決めて、場内の感嘆の沈黙をもって勝利のゴングと感じていた。現場では狂喜乱舞、しかし、表舞台ではさらっと当たり前に繰り出していく。日頃のトレーニングを見せない美学である。

落語の世界では円楽師匠の訃報が突然と知らされ、何時、表舞台に戻ってこられるのだろうと期待していたご両名であるが、自分にとってのヒーローの相次ぐ訃報に放心するしかない。ブレーキの壊れたダンプカーと呼ばれたスタンハンセン氏が、海外から「馬場さんと猪木さんとのファイトは最高の想い出だった」と猪木さんが育てた海外のスターからのコメントを聞かせて頂けるのはネット時代の恩恵だなとは感じるのだが、また一つ、自分が感じてきた世界が消えたのだなと、自らの終焉を実感しつつ、明日が待ち遠しい私であります。