路地

桜が散ったと思ったら花桃も満開、そして今朝はつつじも咲き出した。春がスタートダッシュと言うか、夏がじんわりとやってきたというか。路地裏の植木鉢で咲いている花々もかわいらしい。江戸から続く路地の風情は、何も京都などに出掛けなくてもその情緒を味わえるところが沢山あるのが名古屋の良さだと思う。戦火に焼かれた街であっても人の心は奪われはしない。

4月4日でぞろ目である。日本人なのでなんとなく縁起悪いなぁなどと、祀られたお社を巡りながら大学に向かう。冬の間、姿が見えなかった天白川の巨大な鯉がいつの間にか戻ってきていて、ゆったりと泳ぐ様を橋の上から眺めた。冬の間は真っ暗でさっぱり見えない朝の景色も、今は既に陽は昇っている。向かう西の空は妙にかすんでいる。

韓国では今の季節、黄砂とPM2.5で凄いことになっている。防毒マスクまで飛ぶように売れるのだそうだ。日本ではそこまでのお話は聞かないのだが、名古屋においてもベランダの手すりが白く汚れている。重い黄砂は九州に落ちるが、軽くて煤煙などがくっついた危険な黄砂が名古屋辺りに落ちるとすると、気管支系に悪影響を及ぼすのは、実はこの辺りではないかと気分が悪くなる。

それでもやはり花の季節は良い。年中咲いていないのが良い。毎年学ばせて頂ける。葉を茂らせ風雪に耐え漸く花開く。生きるものはみな同じ。なんてことを思いながら路地を楽しんでいる私であります。