土台から

地方をドライブしていると、眼に入ってくる「お金が掛かっているな」と感じるビニールハウス群。群と申し上げたのは、それが遥か彼方まで続いているという状況から。AI活用で自然相手の場合でも自動制御の範囲は広がったが、露地栽培では突然の嵐の襲来などは予測は出来ても植物へのダメージまで対応しきれない。それで巨大なビニールハウスということになるのだろう。とある専門家に伺ったのだが、ナゴヤドームくらいあると黒字経営を続けられるらしい。勿論、作るだけでは駄目で、その生産物をどの様に顧客の胃袋に落とし込むかまでのマーケティングが必要だ。

一方で、荒廃した農地も目に付く。先日、恐ろしい程の山道を抜けた向こうに広がる棚田は、半分は開墾されていたが、半分はどうみてもヤギのご飯だ。いや、本当にそうだったのかもしれない。それならそれで賢いやり方だとは思う。ヤギのお乳でチーズを作るとかね、そんなことの為には新鮮な草が必要だ。ヤギの糞尿も肥しとなるよう、動物による土作りを隣でやって、翌年にはそちらで作物を育てるということはありだろう。いずれにせよ、食料自給率をあげていくこと、農業従事者の収入向上は国家の必須事項だ。

若者の地方分散を模索するのであれば、空き家と未開墾の耕作地を、手を挙げるスタートアップ、ベンチャーの方々に安価で提供するのが宜しい。いや、無償でも宜しい。どうせそのままではゴミなのだから、そこから一円でも税金と食料を生み出す算段をするのが政治家であろう。当選した途端に次の当選を目的にしてしまう団体の諾否に、税金を使い続ける状況はいい加減に止めるべきだ。今回の40%そこそこしかない投票率で選ばれし民は本当に代議員と言えるのか?

その地の特産と呼ばれるものには、長い歴史の中で育成続けられてきた人々の想いが籠っている。それが収益になることはとても素晴らしい。貧すれば鈍するのだ。食料が貧して飢えているようでは国は成り立たない。経済活動などおぼつかないのだ。耕作地の荒廃は国民の心の荒んだ状態の鏡である。お金が掛かった農業施設、大いに結構。見合う収入を得て頂きたい。国力増強はそんなところからだろう。そう想う。