変化

昨日からイノベーションジャパンというイベントが始まっている。当初は日本中の大学の取り組みを紹介しあったり、基礎的研究成果を企業や他大学の人達と議論し合いながら将来を楽しんだ集まりであった。コロナ禍中で文科省の思考は完全に変わり、ゴールが決まっていて、後は企業が銭を出すだけみたいな集まりになっている。これの何処がイノベーションジャパンなのか?恥ずかしくなる。中には鶴舞大学の若手の様に「そこに食い付かれるとは思いませんでした!」という基礎研究成果をこっそり発表している素敵な若手もいらっしゃるのだけどね。

幾つかの工科系単科大学がお互いの日頃の取り組みを発表しあって、学び合う場もこの機会に設定しているのだが、三年間、すぱっと間が抜けているものだから、皆さん、かなりの新しい取り組みを始めつつあった。これは一緒にのっかりたいなという事例もあったが、余りにも陳腐で、文科省の残虐性を全く意識しようとしていない職員殿が怒鳴られた場もあったのだが、これなどは氷山の一角であろう。明日も無事に職場があると思っていらっしゃるのでしょう。そんなことは全くあり得ない。

起業という点に関しても、お上は極めて積極的であって、それを意識しない工科系の執行部は消えてなくなれという勢いである。小生などは基礎こそ大学でなければ取り組めないと思っているし、それを死守しようと考えるのだが、短絡的に小銭を稼ぎたがるお上は、数理系学科・学部をどかっと増やし、その分、文化系分野をこそぎ落とした分けだが、これでは海外と文化を語り合い、日本の将来を明るく出来る者を失くすことになってしまう。文化系があって理数工系が成り立つのだ。

情報系ベンチャー業界においては、ネットワーク系ビジネスは飽和して加工傾向に入ったという思いもあるとのこと。そろそろディープテックが注目されるだろうとのことだが、それは中々難しいだろうと思う。研究費の削減はディープテック系基礎研究を絶滅させるし、答えのある世界に生きてきた学生諸君、そして教員となった若手には、三十年掛かってゴールインするような歯の食いしばりと血の滲みは似合わない。というか、出来ない。ものづくりせず、GAFAの後塵で納得するのか、夢を描いて散っていくのか。工科系大学は正念場を通り過ぎた。それが見えたビックサイトのイベントであった。