バックキャスティング

パーソナライゼーション。一つのキーワードである。垂直統合から始まった日本のマスプロダクションであるが、価格競争まっしぐらで自分達の首を絞め合って現在に至る。国債の発行額に比例したGDPの伸びしかしない我が国において、マスプロダクション型ビジネスモデルは終焉を迎えているという事であろう。様々なお企業が新規事業創造に取り組み始めているのだが、これもうっかりするとフォアキャスティングの旧態依然に陥ってしまう。

リーダーが60歳以上のお企業になると、なんとなくバブルの香りを吸っていて、延々と過去を引きずり続ける。一秒前すら大いなる過去という時代において、30年以上も前の幻を追い求める。未来にいざなうのではなく、過去の遺物を提供し続ければ、身を切る価格競争のみで、価値から対価を得ようという発想には至るまい。近江商人の如く、日本中をくまなく歩き、良いものを見出し、それを届ける気概は何処に行ってしまったのだろう。世界中に無い良いものを作ろうとする挑戦の精神は生まれないのだろうか。

昨日、歴史ある某お企業様がお越しになられて、滅びゆく運命にあると仰った。慧眼で在られる。GAFAの時代に古典的ビジネスは成立しないということなのだったが、それでは生き残るためには何をしたら良いのかというところで袋小路である。鶴舞大学の商材をご紹介したのだが、果たして買って頂けるかどうか?当方も技術系商社と言って良い立場であるから、売れるものは売り抜きたいのだが、買い手が旧態依然の思考回路では何ともならない。

そのお会社の素晴らしいところは、若手企業群を形成させ、そこで侃々諤々未来に向かうチャレンジとは何かを議論して頂いて、生き残る可能性のある未来を抽出しているとの事。当然のことながら今無い技術が要求されるわけで、そこに本学の商材を当てこませて頂こうと、そんなお話をさせて頂いた。バックキャスティングには今のペインは存在しない。それを解らずにバックキャスティングを語る輩のなんと多い事か。世の中が二分化してきた。それを強く感じる。面白い。