以前、大気中エクセルギーの獲得ということでファンド提案をしたことがあるのだけれど、どうも審査員に全く通じなかった表現だったのではないかと、エクセルギーという単語に思う。熱力学の講義担当であったので、物質がもつ総エネルギー量であるエンタルピーに対して、実際に活用できるエネルギー量としてエクセルギーという概念が生まれるわけだが、エンタルピーが大きい物質があったとしてもエクセルギーが小さいと、活用しようとすると公害に直結するようなものが出てくるわけだ。エンタルピーに対するエクセルギー量の割合をエクセルギー率というのだけれど、それが大きければ大きい程、使い勝手が良いエネルギー源というわけだ。
天然ガスは結構優秀で、エクセルギー率は92%もある。それ故に天然ガスを発電に使ったりするわけだ。一方で、水素は燃やしてしまうと83%であって、仕事に活用するには天然ガスより余計なものを出してくるということだ。一方で電気という代物はなんと100%のエクセルギー率を持っている。だからその場で作ってその場で使うととても良いエネルギー源ということだ。ただ、遠くから輸送するというプロセスにおいては抵抗体を通って熱に変化していくわけだから、これは勿体ない事をしている事になる。
特に、大量電力発生に用いられる蒸気タービンを考えると、ボイラーにおける蒸気発生に使われないロス分は20%程度が排熱され、その残りの80%分が蒸気がタービンを回すのだけど、電力になる分は80の内の32だけであって、残りは排熱となっていく。コンバイン発電はその熱も上手に取り込んでいくという考え方だけど、燃料電池で水素が持つエクセルギーを100とすると、電力に変換できる量は72もある。排熱は28となって、分散電源としての水素と燃料電池の組み合わせの良さが生きてくる。
しかし、肝心の水素をじゃぶじゃぶ生み出すことがなかなか出来ないわけだ。ASEAN諸国の皆様からみて日本は単なるパートナーの一つというように見られるのも、エネルギーも食料も無い国だからだ。もう一つ言えば借金も凄いぞ。誰も覚悟しない、決断しない国。日本のエクセルギーってどんだけ低いのだろうと思ってしまう。オープンイノベーションのパートナーに選ばれない国の代表選手になりつつある。細かく見ると、中小企業や大学のエクセルギーが小さいということだろう。変化しなければ!