スチールラック

小生の居室を尋ねて頂いた方は誰しもが知っている、扉の右手の書籍ラック。スチール製で鶴舞大学に来て直ぐに、生協で購入したものだ。シンボリックな本棚でずっと一緒にいたわけだが、ついに解体とあいなった。一つ一つ処分を進めていくわけなんだけど、一口に近いところから空にしていかないと奥のものを出せないので、そこからやっていこうというわけだ。中に陳列されていた本達を、3種に分けて片付けたのち、こまごまとしたものを取り出して、解体準備完了である。

解体の為には地震対策の金属治具を取り外さねばならないのだが、東北震災の際に業者さんにやって頂いたボルトが外れない。小生がスパナを全力で回そうとしてもびくともしないのだ。ハンマーで叩いて漸く周りだし、事なきを得た。腰板に打ってあるボルトを外してみて驚いたのだが、何と、ネジが一本折れたものが腰板に残っていた。なんで穴が二個あるのだろうと10年以上も思っていたのだが、業者さんがやっちゃっていたのだなと、その理由が解って苦笑いである。

その後、よいしょとひっぱりだして、いよいよ解体となるのだが、天板は目に見える箇所にボルトが2本あって、それを抜いたら簡単に外れた。さて、底板である。手を掛けたらふわっと板が外れ、フレームが現れた。そこにはボルトなどは一切なく、どうなってんだこれという状態である。脚にはまっているプラスチックの部品を外してみてもがらんどう。これははめ込みだなと、室内作業を断念して廊下作業である。T嬢の助けを借りていざやってみると、これが抜けない。

7時前の校舎に鳴り響く金属音。30年もの間、本の重さを支え続けた金属同士のはめ合わせである。ものの見事に一体化して「本当にこれでやっていることはあっているのか?」と疑問を抱く程である。それでもえいやと叩いてみると、ずるっと5mm、10mmと動き出す。実に良く出来ていて、今、流通しているものよりも遥かに頑丈なのではと感じた。撤去した床を見ると、そりゃぁまぁ、埃が溜まるわなと、数十年の汚れを撤去して、出来た隙間に他のものを置いていく。第一歩である。延々と続く。