金型変更で、金型の中での樹脂の周りが変わってしまって、使用中に変形する可能性があり、酷い時には燃料輸送がストップしてしまうという。リコール記事を拝見して、真面目なものづくりの国は何処に行ってしまったのかと寂しくなる。某D社殿の某氏にとても可愛がっていただいたことを思い出し、あの方がご存命であったなら、そもそも論として、こんなことは発生しなかったのではないかと、精神的な柱と言うものは大切だなと感じるのだ。
燃料ポンプと言う、自動車の走行において極めてプリミティブな、そしてベースとなる商材において、それを形作る要素技術である金型に欠陥があるという状況は、永遠に信頼を失うに等しい状況で、今後の信頼回復には相当の時間とお金が必要だなと感じる。もう二度とと言うか、今回の失態の要因分析を徹底的に成され、次に活かすしか無いわけだ。金型による樹脂製品の量産と言う点においても全て見直しが必要ではなかろうか。
樹脂と金型という、同じものが無限に製造されていくという点において、これ程優れた量産工程は無かろう。3Dプリンタの正常進化を待っている間は、高速性という点において金型と樹脂のコンビは、その座を降りることは無かろう。金型とそれに樹脂を送り込む手法の深化と共に、樹脂の進化も求められよう。電動化になってより高速回転に耐えうるような、高靭性の樹脂も必要となってくるだろう。オープンイノベーションによって企業は閉じることなく新たな挑戦を続けねばならない。
日本企業が挑戦を止めてしまって久しい。良品廉価・短納期という、安心・安全とは真逆のコンセプトに貧乏国らしく突き進んできたわけだ。図面の通りに出来れば良いと、その素材に歪が入っていようが、活用時に想定外の挙動をしようが、作り手の思考をゼロにして、図面形状の再現のみに突き進むものづくりのあり様が、必然的に到達したリコールであると感じる。物価を上げる理由が企業利益を上げるだけではなく、市井の民が安心を獲得できる暮らしが出来る為でなければならない。遥かなことに思えるが、そこを目指さねばならぬ。100年は掛かるかもしれないが、教育からである。そう思う。