半導体市場

半導体材料の研究に携わってきたので、半導体市場の成長率ってどうなってんのということが気になってしまう。極限プロセスであるから、そこに関わることが出来る企業は限られてしまうことから、その増減が「あのお会社の皆様、大変だなぁ」等々、お顔が浮かんでくるわけである。大略、2年周期で他の業界では有り得ない程の増減を繰り返すわけだ。これに耐えられる精神力と資本が求められる業界で、ちょっと危ないから撤退しようなんて企業殿は参入しようがない。

この半導体市場の動向って、いろんな角度から眺めて面白い。2023年度は成長率がどっかぁんとマイナス方向に振れたのだが、既にプラス方向に立ち上がり始めている。これを世界の消費電力の観点で見ると実に面白くて、生成AIが日本を除く世界の企業で6割以上の企業群が事務作業等に活用し始めて、どんどんと正しい人員整理をしていらっしゃるわけだが、すると当然、GPUは激しく動作をするようになり、GPUサーバーはどんどこ電力を食い始めるわけだ。電気自動車の比では無い。世界の消費電力が、生成AI出現前の3倍近く跳ねあがっている。

すると何が起こるかというと、その業界の省エネの為の工夫が進み始める。GAFAの皆さんは思い切り電力を消費しているが、流石に気になって来たらしく、CPU、GPUサーバー等、データセンターの省エネが進み始めた。すると、半導体がじゃかじゃか使われ始め、やっぱり消費電力は増えていくのだけれども、それだけ、本来人が関わらなくても良い作業を計算機がやってくれる正しい社会に向かっていくわけだ。AIが奪ってくれる作業は全てAIがやれば宜しい。人は知恵を生み出し続ければ宜しい。それもAIとせめぎ合いだけどね。

成長率が大きく変化するというだけで、数字的には極めて大きなもの成っている。だから、データセンターは勿論の事、計算機が消費する電力は世界的に巨大に成る方向に進んでいく。自然エネルギー、特に水力でかなりの部分を賄っていられる国は別として、多くの国が便利の為に消費電力を拡大させ続ける。それはEVの増大でも生じたことだが、EVにしろ生成AIにしろ、本来なら消費電力を一気に削減させて、人の便利を増大させる方向に行くべきなのに、便利向上に伴って発電施設をどんどこ増大させ続ける。半導体市場は人がどれだけ便利を求めて、地球を暖めているかの指標となっていて、人の愚かさ指標であり愉快である。