登り坂にて

自転車通勤の良さは、鉄道の時刻表に縛られずお仕事に取り掛かれることにある。健康云々もあるのだが、13.5kmもの山坂を越えて往復することに対して、某肉体製造の専門家に「週二回くらいにしておいたほうが良いぞ」と言われたので、身体を酷使しすぎという可能性もある。年齢も考えねばならぬのだが、それでも地下鉄の始発時刻に縛られないのは快適この上ない。

働き方改革ということで、コアタイムを無くして週に自由になる日を三日に出来るようにT社さんが挑むそうだが、それはとても素晴らしい。大学人も得手不得手があるのだが、得手を様々な事業所で活きるような改革が望ましい。研究費獲得競争に疲れちゃったとかね。そんな方はもしも講義が得意技ということであればそれに専念していただくこともありなのだと思っている。

無理を通せば道理が引っ込むのは当然のこと。提案書の私物化などはもってのほかだが、全体を俯瞰的に見る能力だったり、微に入り細を穿つ能力にたけているとかね。いろんな能力が活かされていくことが、労働の効率向上に繋がるのは間違いない。人事評価が大変だとかね、そんなことを言う人事能力の皆無な方が人事課に居てはいけないし、アンチ他人な方が「なんとか」長になっていてはもっといけない。

古さが際立つ我が国であるが、何も学ぼうとしない、いや、学ばせようとしないことが、古化を加速させている。三日自由になる時間の獲得で、学び、そして自らの能力を他律として活用し始める社会の到来こそ望ましい。というような御大層なことを八事の坂をえっちらほっちらと自転車を漕ぎながら考えたりもする。苦行は思考を楽しめるのが良い。下り坂より登り坂が良い。そんなことを思った。