学び直すためには

企業人材のリスキリング・リカレントということに大学が関わっていくことは当然のことである。大学は教員が研究者として研究に猛烈に打ち込み、その意味と成果を社会に還元するわけだが、その手法の一つとしてリスキリング・リカレントがあるわけだ。あるわけなのだけれど、社会の進化速度に制度が追い付いていけていないと感じている。産学連携と言うと、共同研究で企業の利益向上のために研究を部品として使うイメージだが、これからはリスキリング・リカレントということに関しても大学を活用するべきだ。

特別なこととは考えない。企業内で基礎的研究を行う体力が無くなったのであれば、その分は、大学に対価を支払って教育を受けていけばよろしい。大学教員などは、博士を取得した後においても延々と学び続けているわけで、妙に物知りになる。学び伝えることを商売にしているわけだから当然の事なのだが、企業に入ってものづくりに携わっている方々が、学ばずに経験とそこから出てくるカンコツだけで世界と勝負しようというのはなんだろう。

妙にカンコツがもてはやされる分野だったりすると、コンサル業なんてものになったりしてね。技術が深化していっている時にはカンコツコンサルは働く場があるかもしれないが、転換が生じたときには明日どころか、今日がなくなるわけだ。今をじっくりと見直して、改善・改良という得意技に走るわけだが、これとて、見直すやり方を学んでいないといけない。そのやり方とてAIの登場で見直されなければならないだろう。

企業人が学び直しのためにはアルムナイサブスクリプション制度などがよろしかろうと思っている。AIを活用する製造現場のDXなどは、それこそ四半期に一度、学びを更新しなければ世界に置いてきぼりどころか、化石化工場となり果てる。半導体の学びなども基礎は確かに必要なのだが、ナノ領域で生じる量子効果も踏まえた教えが出来なければ、その組織そのものの廃止か入替が必要だ。学びの提供側にこの国の未来は掛かっている。間違いない。