中学生の頃にケント紙という硬く白い紙に、T定規なる凶器を使って図面を書くのが面白く、それ以来、ずっと手書きの図面を作成するのが趣味であった。趣味であったというか、紙に書いてしまうというところか。流石にデジタルツールを使うようになったのだが、それでも2次元図面であり3D図面などは縁遠いものであった。それが3Dプリンタを買ってしまったところから、3D図面を描かねばならなくなってしまった。
3DCADと呼ばれるカテゴリのツールをいじるわけだが、何種類か存在しているFreeツールに御厄介になるのだが、このお作法というか、それに慣れていかないと思うような立体物が出来てこない。格闘である。2Dを描いたら勝手に3Dが出来るという魔法のツールかと思いきや、やたらと文句を言ってくる。作法が違うと。お前は生け花の師匠か?と、その上から目線が腹立たしい。ただ、これが新しいツールを体得するためのハードルであると我慢する。
体に染みついた昔流を若手に押し付け威張り倒し、いじめて追い出す、なんだかそんな旧態依然の社会状況を実感する。ただ、これはどんな仕事もそうだと思うのだが「これをやらないと前に進めない」という現実が目の前にあると、為せば成るもんだなぁと。前日にこんなもんかなというところであったものを全部捨てて、やっぱり目指すべき、到達するべきゴールを目指すべきだと気を取り直して取り組んでみた。ショパンから始まってQueenを2枚、そしてシューマンのピアノ曲の5曲目に出来た。まぁ、こんなものかなというレベルだが、形にはなった。
これを3Dプリンタに送ってみてどうなるかだ。ここにもお作法があって、図面は出来ていても3Dプリンタが解釈できないなんてことも発生する。まぁ、新しい事なんてそんなもんだ。出来ないから面白い。出来た時の喜びは、こんな年齢になっても大きく、そして頑張ったなぁと、それだけに対してのご褒美だが、有難いもんだ。出来なければ淘汰される。それだけのことだが、何か新しい形を創り出せる、良い時代である。時代は旧態依然を否定してくる。だた、努力だけは永遠に変わらないのではないか。それを実感出来た週の始まりであった。