教育のサプライチェーン

教育は百年の計で、直ぐにどうのこうのと結果が出るものでは無い。高等専門学校に起業意欲を高めるための施策を打つわけだが、来年、突然、起業が爆発的に増えるなんてことはあり得ない。それで良いのだ。学生側に意欲があっても、企業数が臨界点を越えないと、社会がそれを受け入れないからね。社会の構造が変わっていかないと、結局、起業意欲はあったとしても、所詮この国ではダメだなって海外流出のきっかけになるだけかもしれないしね。

教育のサプライチェーンということを、ふと思ったりする。いきなり高専のお話を切り出したのだけれど、旬なところで持ち出しただけ。少子化が加速しているということは親が減っているということだ。当然の事ながら保育施設も小学校も減るだろう。すると教員になる人も減ってくるということになる。教員が減って子供が減っての輪廻になっていく。少人数教育なんて、貧国日本では行われそうにない。

すると中学、高校、そして大学も必然、無くなっていくということだ。教育の重要性は世界の進化と共に増すのだが、教え育てる機関に就労する人が減ってくることになる。それが加速していくということか。極めて恐ろしさを感じる。マスコミは日本の研究力が落ちているとか日本のプレゼンスが落ちているということを大学の責任みたいに簡単に言うが、教育のサプライチェーンが壊れているのだ。落ちるべくして落ちているのだ。

世界ではリスキリング・リカレントで、自らが有する機能は何であるかを一生涯問い続ける。そして社会に発信し続ける。終身雇用の考え方が漸く薄れてきた日本ではあるが、まだまだその意識は色濃くある。大会社に入ってしまえばゴールという意識があると、もうそこでリスキリング意欲などは消え去ってしまう。いくつかの大企業が変化を始めているのだが、まだまだその規模は小さい。世界と戦う企業も教育のサプライチェーンであることは間違いない。サプライチェーンの寸断が起これば国は亡びるであろう。そうはさせたくないものだ。