肥料は何処から?

SDGsとかサーキュラーエコノミーとか、カーボンニュートラルとか、経済発展とこれらを両立させなさいみたいな空気感が漂っている。そもそも論、地球という星が保持し続けることが出来る生命の体積って決まっていると思うのですよ。経済活動は食糧生産に必要な領域も含めて、その隙間を無機質で埋めて、それでサステナブルでいろという。肉食を止めて植物性のものだけを食べろという論文も出てくる。そうしたい人はやって頂戴。精神的サステナブルではない。

地球温暖化が本当かどうかという議論が為され続けているわけだが、産業革命以降、人為的CO2放出量が増えたのは事実であろう。化石燃料を使うなという事なのだが、石油由来のプラスチックや、石炭燃焼を今の所、必要とする製鉄なども止めろという事なんでしょうね。発電ばっかりが注目されて、太陽電池を作るための素材の発掘などに莫大なエネルギーを投入して、それは環境に優しいのだと、電池を作ったりね。リチウムを含む鉱石を採掘して、精製して、環境に良いと言われるものを、それが削減するCO2よりも大きな地球温暖化効果を出しながら作ることがSDGsか?

そもそも論なんだけど、人はそれなりのエネルギーを摂取しないと活動を停止するわけで、科学的技術 GDPは上がり続けるけれど、人口が減り続けるとかね。それってサステナブルか?例えば我が国の食糧自給率なんだけど、過去にも何度も語ってきたのだが、肥料という点においてちょっと見落としていたことがある。日本の食糧生産向けの肥料って、ほぼ100%が輸入なんですよ。今、コロナ禍などによって輸入可能な絶対量が減っていて、農産物生産量は勿論のこと、食品が有する栄養価も落ちてくる。特に太陽の正しい光エネルギーを使わない人工栽培では顕著だ。

大学は企業に技術を貢いで日本の産業を支えろと言う。世界に買っていただける最終製品を作り出し続けるには、極めて大きな投資が必要だが、それは汗でなんとかしろと言う。腹が減っては戦ができぬとは古来、言われてきているわけだが、腹を満たす食糧すら無くなったらどうするかという議論を聞いた事がない。農水省は肥料の国内生産が極めて微量であることはレポートしているが、危機的状況であることは報道はされない。この国、どこに向かうのか。お金にならなくてもやらねばならない研究は沢山ある。大学の使命はそちら側にも大きく広がるはずだ。それが知恵だ。それを捨てたくない。そう思う。